俳句作りました



雪 ひ と つ


秋の朝 ビルの谷間に 雲ひとつ

見上げれば 朝陽に映えし 雪一つ

カサカサと ホームさがせば 鳩一羽

冬の駅 ほんとは朝日 暖かい

自転車が 春を見つける 雨上がり

芹食えば 米の旨さが 染みわたる

自転車で 泡立草に 触れていた

空いた窓 芙蓉ゆらりと 風入れる

秋の朝 赤が目に染む 信号機

チャリ漕げば 今年の木枯らし 逢いに来た

チャリ漕げば 冬の太陽 でかすぎる

手袋を とれば寒風 心地よし

街路樹の 奥で燦めく 朝陽かな

霜白き 一本道を 進みゆく

啓蟄や 工 事現場の 雨静か

鳩飛びて 頬に届きし 春の風

雪解けに 電柱からの ひと滴

春雨に 濡れて優しく なりました

道に出て 咲きたる白梅 凛として

校庭に 白梅咲きて 静かなり

春風に 自転車空へと 舞い上がる

窓際に 梅散りゆきて 風温し

花冷えの 空いた電車で 何想う

朝の庭 白く流るる 雪柳

鶯の ぐぜり鳴きかと 目覚めけり

初夏の陽は 工事現場に 明日写す

道端に つつじ咲きたり 夏近し

鳩飛びて 心の憂さも 晴れにけり

木の緑 横に流れて 路進む

雨止みて 蝉の声聞く 昼下がり

背もたれを 空けて座りし 女学生

クレーン車が 地面に重く のしかかり

木陰だけ 探して歩く 暑い夏

雨上がり カナカナ蝉や 聞こえけり

逃がそうと とんぼ掴めば 指を噛む

秋の杣 訪ねし人も なかりけり

紅の 欅敷き詰め 進む路

路行けば 薫りゆかしき 金木犀

朝日浴び ペンキが香る 現場かな

小さな木 我が背と同じ 丈になり

背を伸ばし 落ち葉集める 若き人

冬の朝 咲くを待つなり 枝赤く

陸奥の 旅を想わ す 通勤路

春風に 心ふわりと なりました

艶やかに つつじ咲きたる 夜の道

希望ある なぜか冷たい 四月かな

秋になり そっと落ち葉を 踏んでいる

鶺鴒や アスファルトの端 暮らしおり

春を待つ 桜の君に 雪ひとつ

春になり 我が心も 晴れにけり
 
        

            平成二十七年 春

              草  雲